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神谷奏六の日記

過労リーマン→リタイヤニート生活→現在、週4時間だけ働く生活中。神谷奏六(かみやそうろく)の日記です。

オススメ本 そうだったのか!現代史(池上彰 著)

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オススメ本 そうだったのか!現代史(池上彰 著)

旅行に行ったり、日々テレビを見たりと、かなりの場面で役に立っていると感じるのがジャーナリスト・池上彰氏の著書「そうだったのか!現代史 (集英社文庫)」です。




私が物心ついてから、最初に覚えているニュースは1988年のソウルオリンピックだったと思います。

ベン・ジョンソンがドーピングで失格となり、カール・ルイスが100メートル走で優勝していました。

このニュースは子供でもなんとなく、意味がわかりました。
ベン・ジョンソンって、子供にとってはなんだかおもしろい名前だったし。


次に覚えているニュースが、1988年から89年にかけて昭和天皇が体調を崩され、89年の1月に崩御されたニュースです。

これもまあ、わかりました。
この時期なんて、テレビ番組というテレビ番組は、アンパンマンも、じゃじゃまるピッコロポロリも、ドラえもんも、片っ端から中断か中止してニュースになっていたから。

そして、大人の人の反応を見る限り、よほど悲しい出来事なんだろうと。

そして、今年から平成になるんだと、1年じゃなくて元年なんだと、そんなもんなんだと。

これも、まあそんなもんなのかと受け入れることができます。



しかし、問題はその次です。

1991年にイラクがクウェートに侵攻し、湾岸戦争が勃発しました。
小学校3年生の時です。

ちょうどこの時に祖父が何かの病気で入院していて、うちの家族でお見舞いに行く際に、お土産を持って行こうとなりました。

うちの祖父は、ニュースと新聞が好きでよく見ていました。

さらに、よくいる普通のおじいちゃんと同じように、子には厳しく孫には優しい人でしたので、勉強ができるとほめてくれました。

そこで、私は思いました。

「おじいちゃんは家に帰れず、好きな新聞を読めないだろうから、『奏六新聞』を作ってお土産に持って行ってあげよう。」

と。
これは、かなり褒めてもらえるんじゃないかと。

今思うと、病院でも新聞くらい読めたと思うのですが、田舎の小学3年生なんて、そんなもんでしょう。


当時のニュースは、湾岸戦争で持ち切りだったので、メモを持ってテレビの前に座り、わからないことは新聞で調べて、湾岸戦争のニュースを『奏六新聞』にまとめはじめました。

当時の私としてはかなり、がんばって調べたと思います。

わからないことは両親にも聞き倒しました。
小学生によくある「ねえ、なんで病」のかなり重体の状態でした。


結果・・・、全然わかりませんでした。

・フセインは悪い奴だと言うけれど、なんでそんな悪い人になってしまったのか?

・フセインの横暴な攻撃だと言うけれど、さすがになんで攻め込むようなことをするのか?

・ロケットとか宇宙開発はアメリカとソ連が進んでいると別のニュースで言っていたけど、なんでアメリカは攻め込んで、ソ連は攻め込まないのか?

・テレビで空爆や、地対空砲の映像が流れてるけど、いや、テレビ映してないで、助けてあげろよ!なんで助けてあげないのか?

・そして、イラク・・・。アメリカにこてんぱんにやられたけど、そうなったら普通フセイン死刑だろ。なんで生きてるの?

全くわかりませんでした。



結果、『奏六新聞』は、文字数不足という深刻な問題にぶちあたりました。

そして、お見舞いの日の前日。
朝日新聞から単語を抜粋して書いた上で、紙面をこんな文字数稼ぎの表現で埋めるしかありませんでした。

「イラクが反撃したんだーーーーーーーーーーーーーー」
「フセインのこんな悪事が明らかになったんだーーーーーーーーーーーーーーーーー」
「ななななななななななななななななんと、どこそこの国は人道的支援の名のもとに、イラクへ派兵をすることにーーーーーーーーーーー」

この新聞を見た祖父と親戚のおじさんの、渋い表情は忘れられません。




そして、おそらくそれ以降、私は「ニュース」とは

「ちょっとやそっと新聞を見たくらいでは、表面にしかわからないもの。」
「だから、知ったかぶりできるくらいヤフーニュースで情報を得ておけば、十分。」

という認識を持つようになりました。

本当に最近まで、そんな感じで思っていました。





そんな中で出会ったのが、ジャーナリスト・池上彰氏のこの本「そうだったのか!現代史 (集英社文庫)」です。




NHKのニュース番組、「週刊こどもニュース」のお父さん役をつとめたことで「ニュースをわかりやすく解説する」ことで、ほぼ間違いなく日本一の評価を得た池上彰氏の著書で、タイトルを見た瞬間に期待がわきあがります。

池上彰氏は「現代のニュースを理解するには、現代史(戦後史)の理解が必要不可欠」という考え方を持つ人です。

また、「深く知らないと、わかりやすく説明することはできない」という考え方を持っています。

徹底した取材主義で知られ、

・現地取材
・インタビュー
・毎日の書店巡り
・大量の文献の読み込み
・新聞10紙の比較読みとスクラッピング

などを長年継続しておこなってきたことによる、情報の深さと、本質の追求度と、説明のわかりやすさ、の3つを両立していることで有名です。


そんな池上彰氏のこの本「そうだったのか!現代史 (集英社文庫)」ですが、

・ドイツ分割
・ベルリンの壁の崩壊
・カンボジアのポル・ポト大虐殺
・天安門事件
・EU
・通貨の近代史
・旧ユーゴ紛争

など、知りたいけれど、別に最新のニュースでもないし、それに身の回りにわかりやすく解説してくれる人がいないのでなんだかイマイチわからない、そんな18テーマを解説してくれています。

そして、その18章の中の第1章が

「湾岸戦争」

なのです。


内容は期待に応える内容でした。
保存版です。


「アメリカがイラクと戦争したのに、ソ連が戦争しなかった。」のではなく、「ソ連が参戦しなさそうだったからイラクが参戦し、ソ連が参戦しなさそうだったからアメリカが参戦した」のだとわかりました。

「テレビカメラを持った人が助けられるのに助けない」のではなく、「国際世論とアメリカの世論を見方につけるために、アメリカが管理して映像を流す」という、テレビカメラを持った人はその仕事をしている、歴史的な瞬間なんだとわかりました。

そして、これがベトナム戦争の影響でもあり、東西冷戦の影響でもあり、イスラエルパレスチナ問題とも関連しながら、石油経済の歴史を踏まえて発展していることがわかりました。

そして、この本全体を読んでわかったのですが、他の中東の数々の戦争と同様、19世紀〜20世紀のイギリスの強引な植民地政策がこの戦争の遠因だと、ようやくわかりました。


この本が、当時の奏六少年にあれば、もう少し違った記事が書けたでしょう。

だから、小学校中学年なのか、高学年なのか、中学に入ってからなのか、高校か大学かわかりませんが、ニュースに興味を持ったらこの本を読ませてあげるとよいと思うのです。







世界史の中で、18世紀に起こった最大の歴史的出来事は何かと聞かれたら、産業革命だと思います。

19世紀に起こった最大の歴史的出来事はおそらく植民地競争で、21世紀は今のところ情報革命だと思います。

20世紀はなんでしょうか?
ファシストの対等と消滅か、二度の世界大戦か、小学校の頃までは宇宙開発かな、と思っていました。

でも、20世紀の、特に20世紀後半のかなりの重大な出来事は「冷戦」によって引き起こされています。

この本は主に「冷戦」という視点で1945年以降の歴史を、現代のニュースがよくわかるように解説している点で、全く新しいニュースの見方を得ることができたと思います。





学校で最初に歴史を習うのは小学校高学年だと思います。
その後、中学校、高校でも習います。

でも、日本史ならナウマン象とか、土器とか、世界史なら四大文明とか、ゲルマン民族の大移動のあたりはすごくのんびりと、時間をかけて授業を行います。

それに比べて、日本史なら3学期の最後の方に、教えたとも教えてないともつかないような授業で現代史を習います。

私が小学校の時は、第二次大戦の終戦までは授業でやり、その後については、なんと

「各自で教科書を読んで来てください。しばらくしたら一応、テストをしますので。」

と言われ、一度も授業でやらないまま、1ケ月後くらいにテストがありました。

テストの返却のときは

「戦後の部分は、授業でやってないので、通知表には反映させませんからね。」

と言われました。




高校で世界史を選択していた人は(私の高校は国数社理は高2以降は選択制、という進学校によくある制度でした)、現代史については高3の冬休みの直前に、センター試験で出そうなポイントだけさらっと流されたと言っていました。



池上彰氏いわく、今の学校の授業がそのような授業スケジュールである上に、

・教える側の先生にとっては、ニュースで見た話なので授業でやるまでもない、という意識がある
・その上、教える側の多くの先生も、うわっつらのニュースで見ただけなのであまり詳しく教えられない

という状況なので、今の若い人は現代史を知らない、と言っていました。


そして、現代史を知らないのでニュースの本当の意味もわからないのだ、だからニュースを知るには、現代史の解説が必要なのだ、というのが池上彰氏の考え方だそうです。

まさにそうだと思いましたし、この本を読んで、さらにそう思いました。



ニュースを理解するだけでなく、旅行にも役に立つと思いました。

この本には他にも、

・冷戦
・ソ連のスターリン批判
・中国と台湾の対立
・朝鮮戦争
・キューバ危機
・文化大革命
・ベトナム戦争

というテーマがあります。

私はロシア、中国、台湾、北朝鮮、韓国、キューバ、ベトナムに旅行に行ったことがあるので、これらの内容は、旅行の前や後に読むことで、旅行での気づきや学びを深めてくれる効果もあります。


例えば、これを読むと、

「社会主義国や、旧社会主義国には必ずあちこちに過去の独裁者の銅像があるのに、ロシアだけはほとんどどこにも独裁者の銅像がないのは、フルシチョフの歴史的なスターリン批判があったからなのか。」

「ベトナムや北朝鮮に行くと、すごく誇らしげに撃墜したアメリカの戦闘機が展示してあるが、これはそれぞれの民族意識高揚戦略という面の他に、アメリカがおこなった戦争がいかに非人道的だったかという面が影響していたからなのか。」

「ソ連の子飼いになった国は、必ずソ連に忠実な、『軍事はそこそこ、農業と経済はてんで素人』という人が独裁者として送り込まれ、農業政策で失敗するので、北朝鮮にも中国にも禿げ山がいっぱいあるのか。」

とか、観光に行った都市の街や田舎をブラブラして見た景色に、情報を加えることができます。




入試の中で、世界史や日本史で現代史をよく出題する大学もあるので、受験にも役に立つかもしれません。

でも、それ以上にニュースを理解することと、ちょっと歴史的・政治的な視点も持ってみたりしながら海外旅行を楽しむことに、すごく役立つ本です。

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