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神谷奏六の日記

過労リーマン→リタイヤニート生活→現在、週4時間だけ働く生活中。神谷奏六(かみやそうろく)の日記です。

高齢者の貧困問題がわかるオススメ本「下流老人 一億総老後崩壊の衝撃」(藤田孝典 著)

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高齢者の貧困問題がわかるオススメ本「下流老人 一億総老後崩壊の衝撃」(藤田孝典 著)

最近久しぶりに会った、非常に深くてわかりやすい本が「下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書)」です。






私がこの本に出会ったのは書店の棚でした。

高齢者の貧困問題はよくニュースなどでも見ますし、親戚や知り合いなどで60歳を超える人には老後の経済面での不安などについて話す人も多いので、このタイトルを見てなんとなく「聞いたことのあるテーマだ」とピンと来たというのが出会いです。

そして、ピンと来ただけでなく実際に買おうと思った最大の理由は、今思うと明らかなのですが「なぜ下流老人がそこまで多く生まれるのか理解できていなかったから」という点に尽きると思います。

この本の中で紹介されているように、高齢者が貧困化する原因は非常に多岐に渡ります。

本を読む前に「高齢者が貧困化する原因について、想像できる原因を全て挙げて」と言われて挙げられたであろう数より、この本で紹介されている原因ははるかに多いです。

そして、下流化する人は、いわゆる「ダメ人間タイプ」とは決して言えず、会社役員、公務員、大手企業の会社員まで、しかも本人が努力しているにもかかわらず貧困化しています。

この本の最大の収穫の一つが「高齢者が貧困化する理由が、思っている以上にかなり多岐にわたる」という気づきであり、それらの理由の多くはあまりに身近であることから下流老人化は思ったよりはるかに身近な問題だと知れたことです。


また、

・高齢者の貧困問題は「本人の甘え」「本人の努力不足」では全く済ませることができない問題だと知れたこと
・高齢者の貧困問題がそれ単体ではなく日本の経済、文化、教育などの様々な面に重大な悪影響をもたらす要因であることを知れること
・社会保障制度に「意外な不備」と「意外と思っていたより充実している面」の両方があることを知れること

なども大きなメリットでした。

以下に内容について私の思考をまとめます。

なお、この本で定義する「下流老人」とは「生活保護相当の暮らしをしている高齢者」「その予備軍である高齢者」「憲法で定める健康で文化的な最低限度の生活が困難な高齢者」としています。


<下流老人の生活パターン例について>

下流老人によく見られる傾向として以下のようなパターンがあることをこの本では解説しています。

・お金がない、貯金もない
・体調が悪い
・だけど、お金がないので病院に行けない(と思っている)のでどんどん悪化
・したがって薬は一般薬
・それをちびちび摂取
・結果、病気は重篤化されるまで発見されない
・不衛生な住環境
・家の壁や天井、家具、家電などは壊れたまま
・食事は主にスーパーの見切り品で、回数・量・栄養のいずれも不足
・年金支給日前などどうしてもお金がない時は野草を食べてしのぐ
・家族・親戚・知人と連絡を取ることはない
・1日で言葉を交わすのはコンビニで「あたためますか」と聞かれた時だけ
・わからないことも相談できないので振り込め詐欺にも遭いやすい
・貧困者を狙った悪質低額宿泊施設などの犯罪にもあいやすい
・やることもないのでずっと公園でぼーっとしているか、テレビを見ている
・暇に耐えられずなけなしのお金を持って一日中競馬場や競輪場にいる
・節約のため夜も照明はつけない
・エアコンもつけないので熱中症になる人も
・コンビニで万引きに走って「牢屋に入れてくれ」と懇願
・家賃が払えないため家を追い出されて公園で暮らす
・(家族と同居している場合でも)子供や配偶者などの家族が病気・引きこもり・ブラック企業勤めなどだと、下流化する危険は高い
・以上の現象は全て別の現象の要因になっているので、基本的に全てどんどん悪化する
・最後は孤独死

これらの生活パターンの怖い点は、一つの現象が他の現象の要因となってどんどん事態は悪化して行くという点です。

・病気になってもお金がないから病院に行かなくなり、よけいに周囲が病気に気づきにくくなって病状の悪化が止められなくなり、病気が重くなってから病院に行くのでよけいに医療費がかかるようになる。

・周囲に相談できないので振り込み詐欺に気づかずに被害に遭いやすく、被害にあった後も誰にもそのことを話さないので繰り返し被害に遭い、結果なけなしのお金がどんどんなくなっていく。

・大きな手術などによりお金がなくなって家を出されてから、公園で暮らしたり野草を食べたりして過ごすようになり、衛生状態が悪いからよけいに体調が悪くなる。

・生活が苦しくなった時に「みっともない」などの理由で家族や行政に相談せず、結果、親戚や地域が気づくのが遅れ、支援の手を差し伸べるのが遅れる。(特に国やほとんどの地方自治体はこの本に書いてある事態やその重大性に気づくのがだいぶ遅れているのではないかと思わざるをえません。特にこの問題の解決のためには生活保護を行き渡らせることが重要なのに、生活保護関連費を10%削減する目標を立てているというのは理解に苦しむと言わざるをえません。)

上記のように、一つの現象が別の現象の原因となり、犯罪、不健康、孤独死などの悲劇をより大きなものへと発展させている負のサイクルがあることに気づきます。

「健康で文化的な最低限度の生活ができない」まではいかなくとも、厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」では生活が「やや苦しい」と答えた高齢者世帯が31.1%、「たいへん苦しい」と答えた高齢者世帯が23.2%であり、合計54.3%の高齢者が生活が苦しくなっていることを加味すると、なにかあれば過半数の高齢者にとって負のサイクルによって下流化することは現実的に考えられると言えます。

そして、これらだけを聞くと「貯金しないとね」とか、「子供に同居して(あるいは近くに住んで)もらえればいいんじゃない」とか、「節約すれば、年金だけでも暮らして行けるのでは」とか、「そうなったら老人ホームに入ったらいいんじゃないの」とか、「年収で足りない分は働くしかないでしょう」とか、果ては「そこまでなるのはそいつが不摂生だったり、努力不足だったりするんじゃないの」とか思ってしまうことが多いと思います。

ところが、これだけではとうてい解決できないという点もこの本では示しています。

下流老人問題についてあらゆる視点から検討されているのがこの本のよい点だと感じるのですが、あらゆる視点から検討してもこの問題の解決は困難な道のりである点に気づかされます。


<下流老人の増加がもたらす悪影響について>

これらは「健康で文化的な最低限度の生活ができていない人が増える」という一時的な問題だけでなく、その他の様々な問題を引き起こしている点をこの本では解説しているのですが、この「二次的な悪影響」が思ったより多く、しかも大きな問題につながっているという点も新たな気づきでした。

下流老人の増加がもたらす悪影響として以下のような点を指摘しています。

子供が親である下流老人を助けることで子供と親が共倒れする

この問題の解決策として「子供に同居して(あるいは近くに住んで)もらえればいいんじゃない」と考える人がいる場合、その考えは理想論でしかなく、あまり現実的ではないことも気づかされます。

子供がいない下流老人が多いこともその理由ですが、それだけでなく、同著の中では1980年には65歳以上の高齢者の7割は子供と同居していたのが、2012年には42.3%にまで減っており、今では子供が同居しない方が多数派となっているという統計や、高齢者に占める一人暮らしの割合は1980年から2010年にかけて男性は4.3%から11.1%に、女性は11.2%から20.3%にまで増加している統計を挙げ、「生活に困った時に家族が近くにいないのが当たり前の社会になった」という考え方を提示しています。

私の知り合いの話を総合すると、私より二回りくらい上くらい(50代半ば〜60代前半くらい)を境目に、それより下の人は「親の世話をするために親の近くに子供である自分が移り住むというのは現実的ではない」と考えている人の方が多いように感じます。

これは今の仕事、子育て環境、地域での人間関係、持ち家などがあるため離れられないという人も多いですが、「親世帯と子供世帯が離れて暮らすのは当たり前」という価値観を持っている人が多いようにも感じます。

また、中には親の側でも「子供の世話にはなりたくない」と考える人もいます。

子供に世話させるのが例え合理的であったとしても、「こだわり」や「見栄」や「ポリシー」といった要素が入ることによって、そういう合理的な選択をできない人というのは非常に多いように感じます。

さらに、もし子供が親を助けることができた場合でもそれでよいとも言えません。

同著の中のシミュレーションとして、総務省の民間給与実態統計調査と家計調査を見た場合、40代前半の男性の給与所得者の平均給与は568万円、世帯主が40代前半の男性である2人以上の世帯の勤労者世帯の平均支出は年間492万円であることから、手元に残るのは(あくまで平均で)約76万円です。

これに加えて親に対して毎月5万円の仕送りをするだけでも貯金はほとんどできないことになりますし、上記の平均収入より収入が少ない大半の人、同様に上記の平均支出より支出が多い人、親に対する仕送りが毎月5万円では足りない場合などは、子供が貯金を切り崩して親の面倒を見ることが必要になってきます。

これはそのまま子供の方も下流老人化するリスクになり、これでは共倒れです。

つまり、「子供が親を助ける」というのは合理的ですらない可能性が大きくなって来ているのです。

もちろん「昔は子供が親を育てるのが当たり前だったのだから、今の若い人は間違っている」とも言い切れません。

かつてと比べて今は非正規雇用者が増えていることから労働者世代の平均年収はピークと比べて100万円ほどは落ちており、今より100万円高い(つまり平均値では親に仕送りをしやすい)昔の人と単純比較することはできません。


「長生きが悪」論が増え、命を尊ぶ価値観が失われ、治安悪化や差別を生む

「高齢者は長生きしないで早く死んだ方がいい」という考え方が増えれば、「必要な命」と「必要でない命」があるように考える人も増え、「必要でない命は殺してもいい」「むしろ殺した方がいい」と考える人が増える可能性があります。

これは差別を招く恐れもありますし、ホームレス狩りのような暴行犯罪、ひいては殺人などにつながるリスクもはらんでいます。

ヘイトスピーチのような人権問題に発展することもありますし、過去の日本、ドイツ、ソ連、中国、韓国などの歴史を見るとわかりますが差別意識は略奪・暴行・強姦などの犯罪に直結します。

この本では「日本人が大事にして来た倫理観が崩壊する」という危険性について特に強く指摘していますが、私は差別が生む暴行・殺人・略奪などの犯罪の危険性が大きいのではないかと考えています。


若者の更なる消費低迷、更なる少子化を招く

私たちの世代(私は1982年生まれです)は、それより上の世代の人からはよく「モノを買わない世代だ」と言われます。

これは車や家や服などのモノへの消費だけでなく旅行やゲームや電話代やネットサービスなどのサービスへの消費が増えたこと、「いい車、でかい家、高いブランドの服」などのバブル消費価値観の反動などの原因がありますが、それとは関係なくそもそもお金を使わない「将来への不安」が強い世代であることも指摘されています。

老後に貧困化する例が増えるのを見れば将来への不安はより高まり、「お金は使わないで老後のために貯金」と考える人は増えます。

そして、これは1つめの悪循環ですが、消費の低迷は税収の減少を招くので、今の病気の人や貧困高齢者を支える社会保障費の財源確保が更に困難になるというニュースが流れ、消費はより停滞する傾向になります。

そして、将来への不安が高まると消費が減るだけでなく、少子化が進みます。

これは戦前まで遡って過去の出生人口の推移などを見ると明らかですが、戦時中などの将来不安が高い時期は目に見えて出生数が減ります。

そしてアメリカや日本やイギリスがわかりやすいですが、世界各国の歴史を見ても景気に与える影響は1人あたり消費の増減よりも、人口の増減の方がはるかに影響力が大きいです。

つまり、貧困高齢者が増えることなどが原因で将来が不安になると、少子化と人口減少が進み、人口減少により税収が増えないために社会保障費の財源確保がさらに困難になり、更に少子化が進むという2つめの悪循環がまわるようになります。

税収が減れば災害対策予算も、保育所を作る予算も、教育予算も、国の防衛予算も、中小企業や起業家の支援予算も、IT化や先進技術開発に必要な予算も、あらゆる予算が減って行き、それらはすべて将来不安へ繋がるので、たぶんまわっている悪循環は2つや3つではないと思います。


これらのように、下流老人問題は高齢者だけの問題ではなく全国民に関連する問題であり、健康問題・貧困問題だけでなく、経済・教育・財政など実に多岐に渡る問題だと言えます。

詳細はこちらをお読みください。




<下流老人になる3つの原因と、自分で出来る対策について>

この本では下流老人になる原因の多くに社会保障制度や行政制度の問題があると指摘しています。

世の中が高度経済成長していて、多くの家族が核家族ではなく大家族で、雇用はほとんどが正規雇用で、年金支給額の引き下げリスクも受給年齢上昇リスクもなく、結婚率も出生率も高く、社会保障はいかに多くの人に行き渡らせるかよりもいかに不正受給を減らすかの方が大事であり、どの街でも隣近所の付き合いが深いという時代であれば今の社会保障制度でもそんなに大きな問題はありませんが、今はこれらとは真逆の社会になっているので、今の社会保障制度では下流老人をフォローできなくなっていると指摘しています。

この点を改善したければ、選挙に出て当選して、これらを改善するために貧困対策の法案を国会で通すなり、同著で紹介されている日本より発達した貧困対策制度が見られるドイツやフランスに移住するなりすればよいのですが、そんなことは現実的ではないという人がほとんどだと思われます。

そこで、下流老人になる原因のうち、より自ら防げるもの、自ら改善できるものについて以下にまとめ、私の意見も書きたいと思います。

原因1.支出が大きく、収入と貯金で生活費がまかなえない
パターン(1):働いていた頃からの収入が少なく、年金支給額も少ない
・親の看病や介護のため仕事を辞めざるを得なかった
・自営業、非正規雇用で厚生年金がもらえない
・さらに今後は年金支給額の引き下げや受給年齢の引き上げが起こる可能性あり

パターン(2)貯蓄が少ない、または急に減った
・元々貯金が少ない
・大きな病気での手術が続く、墓の購入などで貯金があったのに減った
・自動車事故の加害者になってしまい損害賠償請求の支払いで貯金が減った
・認知症になり振り込め詐欺などの犯罪や悪徳商法の被害にあって貯金が減った
・親から相続した家や土地に対する相続税や固定資産税、維持費、解体費などがかかるようになった
・悪質な無料低額宿泊所などの貧困ビジネスの被害者になった

パターン(3)病気が悪化してより医療費がかかるようになった
・病気になってもお金がないので医者に行かず、病気が悪化した
・栄養不足などにより病気が悪化した

パターン(4)子供や家族の治療や介護などで支出が大きい
・子供が病気・怪我・引きこもり・非正規雇用などのワーキングプア・ブラック企業でその養育費がかかる

パターン(5)思ったより長生きした
・思ったより長生きしたため貯金が足りなくなった
・思ったより長生きしたため色々な病気になった

<対策>
これらについて、対策としては「死ぬまで働く」という方法が著書で挙げられていますが、同じく同著内で説明されているように、高齢者にとって働く環境は整備されているとは言い難いのが現状です。

また、もちろん年齢が高くなるほど収入が上がる仕事もあるかもしれませんが、多くの人にとって加齢により働ける仕事は少なくなってくる可能性は高いです。

実際に高齢世帯の1世帯あたりの平均所得では、仕事による所得はわずか18%で、公的年金・恩給による所得の68.5%と比べて大きく低くなっています。

私はサラリーマンを11年やって、サラリーマン生活に耐えられずに33歳で会社を辞めましたが、こんな私が80歳とか90歳まで働けるとはとても思えません。

激務のコンサルティング会社に11年いたくらいだから根性はあると思いますが、30代にして体力にはあまり自信はありませんし、サラリーマン時代に満員電車が大嫌いだったことを思い出しても、そのくらいの年齢になると通勤すら大変なのではないかと思います。

そして私が80歳や90歳になる頃と言えば今から50年後ですが、この頃には平均寿命が100歳になっているのか、110歳になっているのかわかりません。
(最近50年で男性も女性も平均寿命は15歳ほど伸び、2015年には男性が80.79歳、女性が87.05歳になっていることを加味すると50年後に平均寿命100歳というのはかなり現実的な線だと思います。)

仮に100歳まで生きるのであれば、80歳まで働けたとしてもあと20年は働かずに下流化しない方法を考えなければならないということになります。

「では100歳まで生きられるくらいの貯金をすれば?」という発想も無意味です。

なぜなら100歳まで生きられるくらいの貯金をしたとしても、110歳まで生きることになる可能性があり、「いくら貯金したらいいか」という議論からはあまりよい対策が得られる可能性は低いです。

ここの部分に対する対策としては「なるべく多くの(働く以外の)収入源、なるべく多くの貯金」という発想で「なるべくリスクを回避しやすくしておく」くらいが限界と考えるべきところです。

老後に収入源を増やす方法として、まず着目すべきが年金です。

同著の中では厚生年金に加入していることが下流化のリスクを下げることに有益に繋がる点を再三指摘しています。

非正規の人は正規雇用を目指し、厚生年金に加入していない中小企業などよりは厚生年金に加入している企業へ就職する方がよいと言えます。

ただし、私のようなサラリーマンを続けられなかったような人は厚生年金に加入するというのはあまり現実的ではないため、国民年金を受給し、それ以外の方法で収入を得る方法を考える必要があると思います。

首都圏に住む一人暮らし老人の一般的な生活保護受給額は150万円であり、これが下流老人の目安とすると、非正規雇用で年収400万で40年働いた人がもらえる国民年金の額は78万円なので、差額は年間72万円となり、この分の収入が必要となります。

さらに生活保護受給額は150万ですが、単身高齢者全体の平均支出額は年間188万円なので上記国民年金との差額は110万円、さらに2人暮らしの場合324万円なので上記国民年金との差額は246万円となり、これらの差額の年間収入が必要です。

医療費などの支出が高い人、固定資産税などの税金の支払いが多い人、働いていない子供と同居している人などは更にかかることになるため、「いくら収入があれば安全」というのはないのですが、上記は最低限必要な収入の目安となります。

私のように「会社員として毎日朝から夜まで(またはその逆)働く」「死ぬ齢まで働く」というのはあまり現実的ではない場合、老後に労働と年金以外で入ってくる収入を作ることが現実的なのではないかと思います。

例えば、一つはネット副業のような「そこそこ頭が動き、最低限手が動けば収入につながる収入源」です。

私は現在、月に数時間くらい書いているブログで月間4〜5万くらいの収入がありますが、これはもっと時間をかけてもっと書けばもっと増えることはわかっています。

「今から50年後に高齢者がブログで稼げるか」という予想は(自分というより世の中の今後に)不確定要素が多すぎて判断しかねますが、Youtuberなのか、インスタでインフルエンサーなのか、ランサーズでライティングなのか、アフィリエイトなのか、(おそらくこれだと思いますが)今はまだこの世に概念すら存在しないビジネスなのか、何かしらは存在していると思います。

私が「ブログで食って行こうと思って。まずは月収を5万円にしたい。」と周囲に言った時、「そんなもの、収入になるの?」とよく聞かれましたが、私にとっては満員電車に乗って会社勤めで週に5日・毎日8時間以上も40年以上も働き続ける方が無理でしたし、ブログの収入の方はチャレンジしたら運良く半年くらいでいけました。

今から50年前に「そこそこ頭が動き、最低限手が動けば収入につながる収入源」と言えば内職のようなものしかなかったことを考えると、今はその種類はかなり増えていますし、今から50年後であれば種類はもっと豊富になっていると私は思います。

「これから50年かけて、老後に仕事と年金以外で収入を得られる副業を探す」
「条件は『自分に合っていて、そこそこ頭が動き最低限手が動けば収入につながるもの』」

というだけであれば、それを見つけられる可能性はかなり高いと思います。

「何の勉強もしてこなかったし、何の予備知識もないけれど来月からブログで月収30万」というのは現実的ではないかもしれませんが、85歳になるのに50年という猶予がある上に、今は昔と違って超・高度情報化社会なので、ちゃんと探して見つからない場合、探し方の方がおかしいと思うのです。

私もそのような年金的意味でもブログは続けたいと思っていますし、それ以外でも「老後の収入源」という視点でのんびり、でも確実に情報収集はしていくつもりです。

また、ネット副業的なもの以外で考えられるのが資産運用です。

貯金は1000万あっても3000万あっても手術などが重なって数年で貯金ゼロという例は同著でも紹介されていますが、これはお金を銀行に預けていた場合です。

例えば年利3%とかのかなり固いインデックス投信に投資したとしても、貯金が2000万あれば年間のプラスは60万円、貯金3000万の人が年利5%の投資信託などで運用していれば年間のプラスは150万円です。

もちろんこれは体力がなくても、力仕事が苦手でも、会社勤めができなくても実践可能です。

ネット副業同様にこの50年で投資信託などの素人でも買いやすい金融商品は大幅に増えたことを考えると、これからの50年でもさらに増える確率の方が高いと考えられ、(老後を迎える前に)途中で多少の失敗をしながらでも50年かけて自分にあった商品と金額を考えることは、よほど情報収集のやり方を間違えなければできると考える方が自然です。

ネット副業で月5万、資産運用で年間60万の収入があるだけでも年間120万の収入があります。

これに加えて賃貸アパート経営や駐車場経営、特許商売、書籍の印税などの収入がある人は更に収入を増やすことができることにもなります。

これらは老後、貧困化してから急に始めようと思っても難しいかもしれませんが、35歳の私にとっては今から準備することは十分に可能であり、定年退職してすぐくらいに準備しても十分間に合うのではないかと思います。

なお、後に述べる独居老人では、下流老人化するのは圧倒的に女性より男性の方が多く、特に段階の世代より上の世代の男性は家事の能力が低いこともその原因として指摘されていますので、老後の趣味として料理・DIYなどを選んだり、多少の家事ならできるのであれば老後の60代、70代は家事代行のバイトをして家事力をキープするようにしたりするなども男性としては現実的な選択肢の一つだと思います。

また、今は高額の医療費がかかる際には「高額療養費制度」という制度が使えたり、収入や貯金がない人は「無料低額診療施設」という医療機関が使えます。

間違っても「医者に行かない」という選択を取るのではなく、病気や怪我の更なる悪化を防ぐ方に努めることが重要ですし、これらの情報は年齢が上がるにつれてちゃんと情報収集して行くことが重要だと感じます。



2.生活保護がもらえない、もらわない
・生活保護がもらえると思っておらず申請していない
・生活保護なんて恥ずべきものと思い申請しない

<対策>
ただし、上記の方法で収入を増やし、貯蓄を増やし、支出を減らしたとしても老後の備えに完全はありません。

病気や怪我により何百万とかかる手術を短期間に何度も繰り返すことになったり、自己の損害賠償、親や子供の病気や生活費、トラブル関連費に関連する支出、犯罪や自然災害に巻き込まれた・・・などの要因でとても払えないような金額の支出があることはどんなに注意している人にでも、どんなに努力している人にでも誰にでも起こりうることは同著の中で再三にわたり警告しています。

上記のような巨額の出費があれば資産運用の口座資金も崩す必要がありますし、認知症になったり脳梗塞が原因で障害が残ったりすればネット副業もできなくなります。

つまり、私がどれだけビジネスの天才だったとしても、あるいは支出を極限まで節約しても、よほど巨額の年金受給者でもない限りは上記のまとまった支出で全てなくなってしまうことはよくあるのです。

そのような場合、我慢して我慢して貧困ビジネスや暴行などの犯罪に巻き込まれたり、病気を進行させたりするよりは生活保護を活用することをこの著書では強く提案しています。

世界中の多くで「生活保護は恥」という考え方の人が多いのですが、日本は特にその傾向が多いとされ、生活に破綻をきたしても申請自体をしないため、その捕捉率(生活保護が必要な人のうち、保護を受けている人の比率)は15%〜30%と言われており、これはドイツの60%、フランスの90%などと比較して極端に低くなっています。

貧困高齢者が生活保護を受けた場合のデメリットと言えば、周囲の差別意識の高い人から「生活保護を受けているらしい」と言われるのに耐えるのがつらいひとにとってはデメリットになるでしょう。

しかし、生活保護を受けると医療費は無料、税金の控除も受けられます。

「生活保護を受ける人が多くなると、国の社会保障費を圧迫する」という考え方の人がいますが、2017年の国の社会保障関係予算32兆円のうち医療費が11兆円なのに対して生活保護は4兆円です。
(年金は11兆円です。ちなみに国の予算である「社会保障関係予算」は32兆円ですが、地方の負担なども含めた「社会保障給付費」は約117兆円で、これは15年で30兆円ほど伸びてます。)

この社会保障関係予算がこの10年ちょっとですごいハイペースで伸びているのが問題とされているのですが、そのうち大部分を占めるのが医療費です。

本当に「国の社会保障費を圧迫するな」と思うなら、「生活保護は恥だから」と何の根拠もない考えから病気を悪化させて国の医療費の負担を大幅に増やす人がこれだけ多くいる以上、「生活保護は恥」という考え方の方を変える方がよっぽど問題の解決には有効です。

私はこのあたりの考え方は国の社会保障の勉強をした際に知ったので、貧困になって病院に行けなくなったり、周囲の人に迷惑をかけるようになったりする前に生活保護を受けるようにする意志があることを周辺には伝えています。

なお、ドイツが捕捉率を上げた方法というのは「生活保護」とは別に、「失業保険2」というものを作り、仕事がなくて生活が困難な人はそちらで捕捉できるようにしたという方法です。

失業中に失業保険をもらうのに抵抗がある人というのは、貧困で生活保護をもらうのに抵抗がある人と比べてかなり少ないと思うので、この方法は日本でも私は有効なのではないかと思います。

なお、これによってドイツでは働かない人が増えたのではないかという指摘がありますが、その反面、ドイツは日本やアメリカと比べて大幅に高い労働生産性を発揮しています。

働けない人が無理に働くのでもなく、働ける人に安い給料で長時間労働してもらうのでもなく、働けない人は失業保険2で保護し、企業側は簡単に人が採れなくなる分、少ない労働者でも収益を維持拡大できるよう生産性を上げるように努力する方が、(この方法はかなりの劇薬であるというデメリットはありますが)日本の経済成長のためにも有効だと私は思います。


3.未婚・離婚・死別などにより独居老人化した
・独居老人になり家族や周囲のサポートを受けにくくなった
・熟年離婚で年金が減った(熟年離婚で年金は折半になることもある)
・地域のコミュニティに顔を出さなくなり、病気の悪化やゴミ屋敷化などに気づかれにくくなった

<対策>
貧困老人は「孤立」という問題により、より問題を大きくすることがあります。

共同生活と比べてほとんど支出が下がらないですし、病気や犯罪などに気づかれにくいこともありますし、会話ができないというストレスが溜まることもあります。

同著の中では「地域のコミュニティに参加する」などの対策が提案されていますが、何かあったときに見つけてもらえる環境は重要だと思います。

私は今、何度引っ越しをしても趣味のゴルフなどを通じて新しい友人が増えたりしますが、老後もなんらかの趣味を通じてのコミュニティに参加し続けるのは重要だと言えます。

また、私は今年からかかりつけ医を作り、健康診断の結果が出たからとか、あそこがいたいここが調子悪いとか、最近では禁煙外来で通っています。

今は「ものわすれ外来」とか「薄毛外来」とか「不眠治療外来」とか色々な外来があり、特に禁煙外来などはかなりの少額の費用負担でできました。

どこも調子悪くないのに話がしたいだけで医者に行くというのは他の患者に迷惑な面もありますが、特に健康について総合的・重点的に相談できるので、貧困老人になるくらいならその前にいつでも何かあれば早い段階で医者に行くようにするというのも、孤立を防ぐ上で重要な施策だと思いました。

なお、「なら、老人ホームに入ればいいじゃん」という選択のは、現状ではなかなか簡単ではないことが多いです。

特別擁護老人ホームや老人ホームは床数が圧倒的に不足しており、3〜5年待ちはザラ、有料老人ホームは入居金だけで500〜1000万、さらに利用料だけで毎月20〜30万ほどかかるところもあるなど圧倒的に高額でありいずれもほとんどの人には簡単には入れません。

これらを除いた無届けの有料老人ホームなどの法的にグレーゾーンの施設ですが、これらの施設の中には必要な介護や通院ができなかったり、設備や人員が足りなかったりするところもあると指摘しています。


なお、これらの他にも色々な対策が同著の中では紹介されていましたが、最も重要な対策は社会保障制度の問題の解決で、高齢者本人の問題の中では「心の持ち方」「意識の持ち方」が重要だというのが興味深かったです。

「本人の努力不足」「そんなやつは助けるに値しない」という考え方が非常に危険である一方、具体的に解決するには本人の心や意識を変えることが非常に有益であるというのは興味深い考察だと思いました。

そして、この著書は国、地方自治体、本人、家族、友人知人、医療従事者、介護従事者、貧困老人を狙う犯罪者など非常に様々な人の視点からこの問題を考察しており、35歳でこの本に出会えたのは非常によい出会いだったと思います。

この問題、知るなら早めがよいですし、学ぶならこの1冊は非常にオススメです。


続編もあります。



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